てんかんのお悩み
てんかんのお悩み
てんかん発作のかたちは多彩です。脳のどの部分が異常発火するかによって、現れる症状がことなります。代表的な症状は以下となります。

会話の最中に急に黙り込んでしまう、気づいたら数秒〜数十秒が経過していた。
このような「意識の空白」は、てんかんの代表的なサインのひとつです。
本人にはその間の記憶がなく、周囲からは「急にぼーっとした」「呼びかけに反応しなかった」と見えることがほとんどです。短い時間で自然に回復するため、疲れや居眠りと見間違えられることも少なくありません。特に子どもの場合、「授業中にぼーっとしている」と学校から指摘されて初めて気づくケースもあります。
このような発作は「欠神発作(けっしんほっさ)」と呼ばれることがあり、脳内の電気的活動の一時的な乱れによって引き起こされます。繰り返し起こる場合は、早めに専門医への相談をお勧めします。
体が突然ピクッとはねる、あるいは手足が一瞬ぐっと突っ張る。
こうした動きは「ミオクロニー発作」や「強直発作」として知られる発作の型です。
腕や脚が、電気が走るように短く収縮する動きで、朝起き上がる際に起こりやすいという特徴があります。コップを落としてしまう、食器をはじいてしまうといったエピソードが繰り返される場合は注意が必要です。
手足の筋肉が数秒から数十秒にわたり突っ張った状態になるもので、転倒や怪我につながるリスクもあります。
「たまにある体のぴくつき」と軽く考えずに、発生の頻度・時間帯・状況を記録しておくと、受診時の診断に非常に役立ちます。
発作中に目が上を向いたり、一点をじっと見つめたまま呼びかけても反応がない。
このような状態は、てんかん発作の際によく見られる症状のひとつです。
目が白目になるように上転する動きは「強直間代発作(きょうちょくかんだいほっさ)」の初期や、脳の特定の部位から始まる発作で現れることがあります。また、視線が一点に固定されて虚ろな表情になる状態は「焦点起始意識減損発作(しょうてんきしいしきげんそんほっさ)」とも呼ばれ、意識はあるものの周囲への認識が低下している状態です。
本人はその間のことを覚えていない場合が多く、周囲の方が症状を記録・観察することが診断の重要な手がかりになります。動画での記録も、受診時に医師へ伝えるうえで大変有効です。
何の前触れもなく突然倒れる、その場に崩れ落ちる。
このような発作は「脱力発作」や「強直間代発作」として分類されることがあり、外傷(頭部打撲・骨折など)の危険性があるため、特に注意が必要な症状のひとつです。
気を失ったように見えるため、一般的な「失神(血管迷走神経反射など)」と混同されることがあります。しかし、てんかんによる発作は脳の電気的な乱れによるものであり、心臓や血圧の問題で起こる失神とはメカニズムが異なります。正確な鑑別のためには、脳波検査(EEG)や詳しい問診が必要です。
倒れた際の状況(前触れの有無・倒れ方・倒れていた時間・回復後の様子)をできるだけ記録しておくと、診断の精度が高まります。
名前を呼んでも返事がない、目を開けているのに意思疎通が取れない。
こうした「反応のない時間」も、てんかん発作の重要なサインです。
この状態は「意識減損(いしきげんそん)」と表現され、意識が完全に失われているわけではなくても、外部からの刺激に適切に反応できない状態を指します。発作が終わった後(発作後期:postictal period)も、しばらくぼんやりしたり、混乱した状態が続くことがあります。
周囲の方が「急におかしくなった」「話しかけても無視された」と感じた場合、その出来事がいつ・どのくらいの時間・どのような状況で起きたかを記録しておくことが大切です。
意識はあるようなのに、口をもぐもぐと動かす、手をひらひらとふる、服を引っ張るなど、同じ動作をぼんやりと繰り返す。
このような自動症(じどうしょう)と呼ばれる症状も、てんかんの特徴的な発作型のひとつです。
これは「側頭葉てんかん(そくとうようてんかん)」に多く見られ、脳の側頭葉から発作が始まる際に現れやすい症状です。本人はその間の記憶がなく、後から指摘されて初めて気づくことがほとんどです。
「癖が強い」「マナーが悪い」と誤解されることもありますが、本人の意思とは無関係に起こる発作症状です。同じ行動パターンが繰り返し起こる場合は、小児神経科への相談をお勧めします。
眠りについた直後や、朝方の目覚め間際にけいれんが起こる。
このような「睡眠関連のてんかん発作」は、見落とされやすいパターンのひとつです。
睡眠中は脳波の変動が大きく、特にノンレム睡眠(深い眠り)からの移行期に発作が起こりやすいとされています。寝ているときのけいれんは本人が気づかないことも多く、同居している家族やパートナーからの指摘によって発覚するケースも少なくありません。
また、「若年性ミオクロニーてんかん」など特定のてんかん症候群では、朝起き上がる際のぴくつきや全身けいれんが典型的な症状として現れます。睡眠中の異変が繰り返される場合は、「たまたま寝ぼけた」と判断せず、一度ご相談ください。
てんかんは適切な診断と治療によって、発作のコントロールが期待できる疾患です。
「もしかして…」と思ったら、ひとりで抱え込まずにご相談ください。
てんかんの発作は、大きなけいれんだけではありません。意識が短時間途切れる・目が上転する・同じ動作を繰り返すなど、さまざまな形で現れます。
症状に気づいたときは、発生の状況・時間・頻度をできるだけ記録し(動画があればなお良い)、早めに小児神経科を受診することが大切です。
てんかんは早期に診断・治療を開始することで、多くの方が発作をコントロールしながら日常生活を送れる可能性があります。
「大したことではないかも」と感じる症状でも、繰り返し起こっているようであれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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